| 2007/07/24(火) 02:32 | ふぁみこんよみもの |
| ファミコン昔話〜黎明編 〜 |
赤と白のバケモノに心身ともに侵食された僕は、
もう生活全てがマリオになった。
何もかもがマリオワールド。
遊びに行く公園までの道のりはステージ1-1だ。
マンホールを跳び越える。
勿論片手は上に上げて。
対向する自転車はノコノコだ。
これもまた交差するタイミングを見計らって跳び越える。
といってもすれ違いざまにジャンプするだけなのだが。
自転車に乗ってるおばちゃんは横で怪しく飛び跳ねる僕を
怪訝そうに横目で見ながら後ろへフェードアウト。
でも僕は上手く跳び越えれて大満足なのである。
道路も電柱も植木も標識もみんなみんなマリオ。
僕にしか見えていない世界がそこにあった。
公園はステージががらりと変わる。
砂場ステージで足をとられ、
ジャングルジムの石垣を高速で駆け上る。
あのBGMは自分の口から発せられた。
走ってきたので息が続かないが、それでも精一杯。
頭の中では軽快な音楽がいつまでも流れていた。
シーソーの上を落ち着いて渡り歩く姿は、
移動床を跳び渡るマリオのそれと変わらなかった。
滑り台の階段を一気に駆け上がったら、
ゴールフラッグの代わりに滑り台を滑り切る。
頭の中では花火が舞い上がった。
クリアー。
満面の笑みで自分のルートを再確認しながら
次のステージを考え出す。
今度はシーソーを跳び越えようか。
ジャングルジムはくぐるべきかな。
変な子供?
とんでもない。
僕の周りには、同種の子供がわんさかいた。
共通することは、
みんなマリオに脳をのっとられていたこと。
みんなファミコンを持ってなかったこと。
2コンは緑マリオ。火を吐くボス。斧を投げてくる敵がいる。
友達間で交わされる断片的でしかない情報は、
余計に想像力をかきたてられた。
強大な敵を相手にマリオは大丈夫のか?
創造は心配になり、どこかで戦うマリオの敗北が怖かった。
ホラー映画のバケモノが自分に襲い掛かってくるような、
そんな不安がかけぬけていった。
早く、早く僕もマリオと一緒に戦いたい。
どだい無理な話だった。
高価すぎるそのおもちゃの恩恵を受けることができるのは、
一部のお金持ちの子か、
大きいお兄ちゃんがいる子だけだった。
その両方を満たしていない僕に、
ファミコンはマリオは手を差し伸べることはなかったのである。
でも、
いつかは、
いつか大きくなったら…
僕の野望は大きく一歩を踏み出したのである。
| コメント:0 | トラックバック:0 |










プロフィール

















